@techreport{oai:kanazawa-u.repo.nii.ac.jp:00054474, month = {Mar}, note = {『イーリアス』1巻において、女神テティスは息子アキレウスの願いを聞き入れて、ゼウスに嘆願する。『イーリアス』全24巻の冒頭をなすこの有名なシーンは、ゼウスの主権という観点から見ると、多くの問題をはらんでいる。なぜアキレウスは直接ゼウスに嘆願せず母に頼んだのか、なぜその際にアキレウスはブリアレオスなる怪物の話をもちだしたのか、なぜ弱小神であるテティスの嘆願をゼウスは聞き入れたのか、等の問題である。 これらの問題を解くには、当時の聴衆には良く知られていたとみられる、テティスにまつわるある重要な予言を考えることが不可欠である。それは、「テティスの息子はその父親を凌ぐ」という予言である。テティスのもつこの力ゆえに、ゼウスは自らを凌ぐ子供が生まれることを恐れて、この女神との結婚を諦めたのであった。つまり人間の子として生まれたアキレウスの運命は、ゼウスがその主権を保持するために企てた計画の結果であった。 本研究では、「父を凌ぐ息子」というテーマが『イーリアス』1巻の根底に流れていることを明らかにし、このテーマがいかに物語の細部にいたるまで働いているかを明らかにした。ブリアレオスの話も、この観点から明確に説明することができた。しかし、これほど主要な働きをなしている「テティスの予言」がなぜ『イーリアス』において名言されておらず、いわば「隠されたモチーフ」となっているのか、という大きな問題が残された。これに関しては今後の研究において考察を続けたい。, 研究課題/領域番号:11164229, 研究期間(年度):1999-2000, 出典:「初期ギリシア文学におけるゼウスの主権」研究成果報告書 課題番号11164229 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11164229/)を加工して作成, 金沢大学理工研究域}, title = {初期ギリシア文学におけるゼウスの主権}, year = {2018} }