@techreport{oai:kanazawa-u.repo.nii.ac.jp:00054552, month = {Apr}, note = {アクトミオシンモーターのエネルギーはATPの加水分解で供給される。この化学エネルギーがどのようにして力学的エネルギーに変換されるのか、また、ATPase反応のどのステップが力学的現象を生むのか、更には、力学的性質(発生する力の大きさや滑り速度)が何によって決定されているのか、など多くの興味ある問題が未解決のままである。本研究では先ず、ミオシン頭部がATPを結合・分解するときにミオシン頭部にどのような力学的応答が生ずるかを、原子間力顕微鏡を用いて1分子レベルで調べた。カンチレバー探針先端に捕捉されたHMM1分子が基板に固定されたATPと結合した直後のカンチレバーの応答を計測した。驚いたことに、カンチレバーが振動する現象が観察された。カンチレバーを動かしているものはHMM以外には無いので、HMM分子自身が振動していると判断せざるを得ないが、他の可能性も残されている。この振動がATP加水分解のエネルギーによってもたらされているかどうかを調べるために、ATPをADPで置き換えた。ADPの場合には振動は全く観察されなかった。HMMがATPと結合・解離を繰り返すために振動が現れる可能性もあり得るが、ATP基板を下げていっても振動が続くことからこの可能性は否定された。HMMの2つの頭部が交互にATPと結合・解離をするために振動が現れる可能性が残されているが、単頭のHMMで振動が現れるかどうかを今後調べる。アクトミオシン系の滑り速度・力が何によって決定されているかを次に調べた。様々な基質(7種類のMg-NTP、4種類のMe-ATP)とイオン強度を変えて、NTP加水分解反応と滑り運動を同じ条件で観察した。その結果、滑り速度はNTPase反応のアクチン濃度に対するKmに、すべての条件下で比例することを発見した。最大活性は滑り速度と無関係であった。力については、滑り運動中の力はすべての条件でほぼ一定であり、滑り速度ゼロのときに発生している力は条件に依存した。その依存性にはNTPase反応のKmや最大活性とのシステマティックな関係が見出されなかった。これらを説明できるモデルを構築・分析して、弱い結合中間体におけるミオシン頭部とアクチンとの間で生ずる内部負荷が滑り速度を決定していることを解明した。, 研究課題/領域番号:10175211, 研究期間(年度):1998, 出典:「生物分子モーターの構造・機能の1分子動態解析研究」研究成果報告書 課題番号10175211 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10175211/)を加工して作成, 金沢大学理工研究域}, title = {生物分子モーターの構造・機能の1分子動態解析研究}, year = {2016} }