@techreport{oai:kanazawa-u.repo.nii.ac.jp:00054853, month = {Apr}, note = {今年度は、前年度に検証した19世紀末おける「声を持たない」非西洋人男性像から「声を持つ」異人種男性像への転換を軸として、文学テクスト上の非西洋人男性の表象変化と進化論との関係の考察を進めた。 異人種男性を直接的・間接的に扱った英米文学テクストを広く検証したが、その過程において浮上したのがJoseph Conradの作品である。ポストコロニアリズム批評においてはHeart of Darknessが偏重される傾向にあるが、彼の作品群を俯瞰すると、そこには本研究課題である「進化論」と「非西洋人男性の表象」が複雑に絡まり合って刻印されていることに気づく。作品テーマの変遷については、初期の作品に見られるような有色人種男性の直接的な表象(The Nigger of the Narcissusなど)から、中期の西洋における下層階級男性や外国人男性の表象(The Secret AgentやUnder Western Eyes)という間接的に異文化を記述する表象様式への変化が看取できるし、The Secret Agentにおける進化論の派生概念(犯罪学や人種学)への強い関心からは、西洋コミュニティの階級問題と異人種の階層化との連動という、当時の階級意識と進化論の密接な関係を読み取ることができる。また、Conradがその購買層として意識せざるをえなかった「大衆」の存在を考慮に入れるとき、彼の作品で展開される異国人男性の「声」はアメリカでのLothrop Stoddardの著作までをも喚起する。初期の作品であるThe Nigger of the Narcissusにおいて既に、作家は非西洋人男性に「声」を付与することの困難さを提示しており、この作品が本研究ではとりわけ重要なテクストであることを確認した。本研究の総括として、The Nigger of the Narcissusにおける黒人表象と語りの問題を扱った論文を目下執筆中である。 資料収集に関しては国会図書館と海事情報センター(いずれも東京)に赴き、19世紀の進化論に関する文献と航海情報を収集した。, 研究課題/領域番号:15720055, 研究期間(年度):2003 – 2004, 出典:「ダーウィン以降の英文学テクストにおける進化論言説と非西洋人男性の表象」研究成果報告書 課題番号15720055 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15720055/)を加工して作成, 金沢大学人間社会研究域学校教育系}, title = {ダーウィン以降の英文学テクストにおける進化論言説と非西洋人男性の表象}, year = {2016} }