@techreport{oai:kanazawa-u.repo.nii.ac.jp:00054905, month = {Apr}, note = {山本らは、糖尿病状態で促進的に形成される後期糖化反応生成物(advanced glycation endproducts、以下AGE)が、AGE特異受容体(receptor for AGE、以下RAGE)を介して、糖尿病に特徴的な血管細胞変化を来すことを見い出した。また、RAGEを過剰発現するトランスジェニックマウスを作製して糖尿病を誘発すると、腎症の発症・進展が加速されることを証明した(J.Clin.Invest.2001)。したがって、AGE-RAGE系は糖尿病血管合併症克服のための分子標的候補と考えられ、RAGE遺伝子の制御によって糖尿病血管合併症は抑制可能と推定された。 本研究では、将来的にRAGEをターゲットとした遺伝子治療を目指し、糖尿病血管合併症の新しい予防・治療原理を導くことを目的とする。本年度は前年度までに作製したRAGE欠損マウスに糖尿病を誘発し、その糖尿病血管合併症の進展の程度を解析することで以下の結果を得た。 1.前年度までに作製した全身型RAGE欠損マウス(以下RAGE(-/-))に糖尿病を誘発するため、インスリン依存型糖尿病を遺伝的に発症するトランスジェニックマウス(J.Biol.Chem.1998)と交配した。具体的にはまず、糖尿病発症RAGE(+/-)を作製し、続いてそのマウスとRAGE(+/-)とを掛け合わせることで糖尿病発症あるいは非発症のRAGE(+/+)、RAGE(+/-)、RAGE(-/-)の計6群を得た。各群において以下の解析を行った。 2.糖尿病発症群において血糖、HbA1cは非発症群に比べて有意に高値を示したが、糖尿病発症群間においては差がなかった。血中AGE値も糖尿病発症群間で差を認めなかった。 3.糖尿病腎症の解析を行った結果、糖尿病発症RAGE(-/-)は、糖尿病発症RAGE(+/+)と比べて腎腫大、尿中アルブミン排泄、組織学的な糸球体肥大、糸球体硬化病変、さらに血清クレアチニン値の上昇のすべての指標において有意な抑制を示した。その抑制効果はRAGE遺伝子の発現低下レベルと相関していた。 以上の結果から、RAGEの抑制により糖尿病血管合併症、殊に腎症の発症・進展が防止されうることが明らかとなり、今後、RAGEをターゲットとした糖尿病血管合併症の予防・治療法の有用性が確信されるに至った。, 研究課題/領域番号:14770058, 研究期間(年度):2002-2003, 出典:「遺伝子ターゲティングによる糖尿病血管合併症の原因・治療の解明」研究成果報告書 課題番号14770058 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14770058/)を加工して作成, 金沢大学医薬保健研究域医学系}, title = {遺伝子ターゲティングによる糖尿病血管合併症の原因・治療の解明}, year = {2016} }