@techreport{oai:kanazawa-u.repo.nii.ac.jp:00056311, month = {Apr}, note = {【研究目的】MRSA感染症は重篤な基礎疾患を有する例が多く、診断や治療開始の遅れが患者の予後に大きな影響を与えると言われている。当検査室では早期診断、適切な抗菌薬選択に有益な情報を提供するために、血液培養検査にスペーサー領域を利用したPCR(ITS-PCR)による菌種同定法を導入した。ITS-PCR法導入後のMRSA敗血症例における治療開始時期と予後との関連性について検討する。 【研究方法】ITS-PCR法による菌種同定は、血液培養ボトルから直接DNA抽出し、PCRで増幅後、マイクロチップ電気泳動装置を使用することにより、菌種同定までの所要時間が約1時間30分に短縮され、迅速報告が可能となる。 【研究成果】(1)ITS-PCR法導入による治療評価:発熱後48時間以内の抗MRSA薬の投与開始例に比べ48時間以降開始例は有意に死亡率が高く(11.1% vs. 54.5% ; p<0.01)、血管内カテーテル挿入例においても同様に48時間以降の抜去例は有意に死亡率が高くなる(9.1% vs. 63.2% ; p<0.01)結果が得られ、治療開始の遅延が予後不良の一つの要因と考えられた。ITS-PCR法による迅速菌種同定を日常検査に導入し、同定菌種名を主治医に電話報告、電子カルテにも記載するなど迅速報告体制を構築した。導入後は48時間以内の抗MRSA薬の投与開始率(前45.0% vs.後60.0%;p=0.310)、カテーテル抜去率(前36.7%vs,後100% ; p<0.001)が増加し,導入前に比べ治療開始時期が明らかに早くなり、死亡率も改善がみられた(前35.0%vs.後16.0%;p=0.154)。 (2)VCM治療における問題点:MIC creepがVCMの治療効果を低下させている理由の一つだと考えられている。2010年当院におけるHRSA2μg/mL株の割合は11.4%で、VCMによる治療開始例では初期トラフ値が≦10μg/mLと低く、PK/PD目標値であるAUC/MIC≧400が達成できず、VCM増量やLZDへの変更が必要となり治療が長期化した。1μg/mL株で目標トラフ値を維持できた例でも、Alb低値例(2.5g/dL以下)では治療が長期化するなどVCMで治療困難な症例が増加することが危惧された。 【まとめ】ITS-PCR法導入により、MRSA敗血症の早期治療、適切な抗菌薬の選択のための有益な情報が提供できるようになった。今後、さらに他の予後不良因子についても検討を継続していくことにより、今まで以上に適切な抗菌薬の選択に寄与でき、治療成績の向上、医療費の軽減にも繋がると考えられる。, 研究課題/領域番号:22931019, 研究期間(年度):2010, 出典:研究課題「ITS-PCR法導入後のMRSA敗血症例における治療と予後に関する研究」課題番号22931019 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22931019/)を加工して作成, 金沢大学附属病院}, title = {ITS-PCR法導入後のMRSA敗血症例における治療と予後に関する研究}, year = {2016} }