@techreport{oai:kanazawa-u.repo.nii.ac.jp:00059726, month = {Apr}, note = {分子モーターのエネルギー変換過程において分子内に何が起こっているのであろうか。エネルギー変換は分子集団のレベルで起こるのではなく、個々の分子で起こる現象である。従って、1分子の振る舞いを直接観察・計測できる必要がある。原子間力顕微鏡カンチレバ-探針に分子モーターであるHMMを1分子だけ捕捉することに我々は既に成功している。この技術を利用してATPase反応に伴って起こるHMM分子の力学応答を1分子レベルで計測することを試みた。基板にATPを固定し、探針に捕捉したHMMをそこに近づける。HMMがATPと結合して後に起こるであろう変化をカンチレバ-の撓みの変化として捉えた。予想外にもカンチレバ-の高速振動が観察された。振動数は我々のサンプリングレートでは計測できなかったが100Hz以上と見積もられた。また、振動の振幅は約2nm(力に換算すると40pN)であった。この振動がHMM分子の構造振動に因るかどうかは即断できない。そうでない可能性として、HMMがATPと結合・解離を繰り返すことが考えられる。この場合には、振動中にカンチレバ-をゆっくり引き上げられば、その引き上げ過程初期にHMMはATPから解離し、カンチレバ-は下には撓まないはずである。実際に調べてみると、引き上げ過程でカンチレバ-は下に一旦撓んだ後に撓みの無い状態になった(破断現象、破断力約15pN)。従って、振動はHMM分子が2状態間を高速に行き来することによって起こるものと推測される。カンチレバ-を2nm変位させるに必要な仕事は4kBT(T=300°K)であり、これはATPの加水分解で供給されると考えられる。振動現象は重要な事実を意味する。すなわち、ATPから供給されたエネルギーは散逸せずにかなり長い時間HMM分子に貯えられる。この新しい現象は分子モーターにおけるエネルギー変換機構の重要な側面を表していると考えられる。, 研究課題/領域番号:09279218, 研究期間(年度):1997, 出典:研究課題「生物分子モーターの構造・機能の1分子動態解析研究 」課題番号09279218 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-09279218/)を加工して作成, 金沢大学理学部}, title = {生物分子モーターの構造・機能の1分子動態解析研究}, year = {2016} }