@techreport{oai:kanazawa-u.repo.nii.ac.jp:00059808, month = {Mar}, note = {平成5年〜8年度に集積した模倣データを個別分析し、在胎週数、実験時の胎齢、生活齢により俯瞰した。 1.在胎週数、実験時胎齢による模倣反応の生起状況:「人らしい」図版(正顔・目顔)のみに対する舌出し模倣の分布は、在胎週数が少なく(26週)ても実験時胎齢が36週以上になれば出現し、これは生下体重や、実験時の体重の影響を受けなかった。人らしさの認知は出生後の胎齢が33週になれば出現し、しかも同在胎週数群においては「人らしさ反応」の方がより早期に出現し、次に「乱顔反応」が出現した。人らしさを認知させる先天性機能は在胎30週前後の早産で生まれても、胎齢33週には発現する。胎児期の発達を系統発生上の進化になぞらえるなら胎齢33週すなわち妊娠8ヵ月には、種としてのヒトの認知・情動機能が備わることが示唆された。 2.在胎週数、実験時生活週齢による模倣反応の生起状況:「人らしさ反応」の分布は、在胎週数が少ない場合は、実験時の生活週齢が高くなってから出現し(要経験)、在胎週数が十分な場合は、生活週齢が少なく出生直後でも出現した。「人らしさ反応」生起の生活週齢と在胎週数は負の相関を示した(p<.001)。胎内でも先天的に人らしさを認知させる脳の機能が造られる。胎内出の成熟が十分であれば、出生直後から人らしさを認知させる知的機能の発動する備えがある。これは今日の制約理論を支持する方向にある。「乱顔反応」生起も同様の相関を示した。人らしさ反応と乱顔反応の理論値の比較から、「人らしさ反応」の方がより早期から出現することが示唆された。理論値の係数の絶対値が大きいことから、実験時の胎齢よりも生活齢が、すなわち成熟よりも経験(外界との相互交渉)が、模倣反応の生起に寄与する要因であることが示唆された。 3.実験時胎齢、実験時生活週齢による模倣反応の生起状況:模倣の発達過程は、正期産児ではその後、「人らしさ反応(生後1ヵ月)」→「乱顔反応(2ヵ月後半、刺激般化)」→「人らしさ反応(3・4ヵ月、刺激弁別)」へと進展する(池上,1984)、実験時胎齢36週以上では、各胎齢において生活週齢を追ってみると模倣反応の生起分布に正期産児と同様の発達パターンがみられた。この発達パターンは胎内成熟が十分であれば出生直後から発現する。実験時胎齢33〜35週に関しても同様のパターンの兆しがみえるが、その発現は、それに見合った生活週数が必要とされると想定される。この点については今後更なるデータの補完により明らかにされるところとなる。 以上、顔の模倣を指標とした「認知・言語の成立」は、早産児であってもすでに胎齢33週において「種としてのヒトの」認知・前言語のパターンを有することが示された。種の自己(遺伝子)保存のためには、全く白紙であるよりも、学習についてある程度のフログラム(制約)のある方が環境への適応(生き残り)に有利であることが推察される。本結果は国内外において、未踏の領域である早産未熟児・正期産新生児の早期認知・言語の発生的機序について、未だ明らかにされたことのなかった貴重なPropositionを含んでいる。, 研究課題/領域番号:08202203, 研究期間(年度):1996, 出典:研究課題「乳児期早期の顔の動きの模倣の発生機序に関する研究」課題番号08202203 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08202203/)を加工して作成, 金沢大学教育学部}, title = {乳児期早期の顔の動きの模倣の発生機序に関する研究}, year = {1996} }