@techreport{oai:kanazawa-u.repo.nii.ac.jp:00060091, month = {Apr}, note = {これまで,私は,膵液中K-ras癌遺伝子点突然変異の検索による膵癌診断の有用性について報告してきた(Jpn J Cancer Res 84:961,1993;Pancreas,in press)。しかし,診断率は80%前後と100%ではなく,また病理学的には良性とされる腺腫の粘液産生膵腫瘍にも陽性例が存在している。したがって,膵液中p53遺伝子異常の検索が,K-ras遺伝子変異では良悪性の鑑別困難な粘液産生膵腫瘍の鑑別やK-ras変異陰性の通常型膵癌にも有用な指標となる可能性があり,さらに膵癌の進行度や予後などの悪性度を評価する上にも有用な情報を与えることも期待されると思われる。そこで,膵液中のp53変異ならびにK-ras codon 12の分析を同時に行ない,膵液中p53変異の検索による膵癌診断に対する有用性について検討した。対象は,通常型膵癌15例,粘液産生膵腫瘍2例,I群慢性膵炎15例である。方法は,十二指腸内視鏡下経乳頭的に採取した純膵液よりDNAを抽出し,p53遺伝子のexon 5,6,7,8の領域のそれぞれに対するプライマーを用いてPCRを行い,その後グラジエントゲル電気泳動と銀染色によるNon-radioisotopic PCR-SSCP法にて検出した。K-ras変異は,PCR-RFLP法にて判定した。p53の変異を認めたものは,膵癌でexon 5では,1/15,exon 6では4/15,exon 7で2/15,exon 8で5/15であった。全体では,9/15(60%)にp53変異陽性と判定された。一方,粘液産生膵腫瘍(腺腫)2例,ならびに慢性膵炎15例には,p53遺伝子変異は認められなかった。さらに,膵癌症例15例において,p53とK-rasコドン12の変異を比較すると,両看陽性は7例であったが,一方にのみ変異を認めたものがp53に2例,K-rasに3例認められ,両者を併用することで膵癌の診断率の上昇がみられた。以上のように,粘液産生膵腫瘍(腺腫)2例は陰性であり,粘液産生膵腫瘍の良悪性の鑑別診断にp53遺伝子変異が有用となる可能性がある。また,K-ras変異陰性の通常型膵癌でP-53変異陽性例が15例中2例に認められ,膵液中のK-rasとp53と遺伝子変異検索により,膵癌診断率を高めることが期待される。, 研究課題/領域番号:06770361, 研究期間(年度):1994, 出典:研究課題「膵液中p53癌抑制遺伝子の検索による膵癌診断法の開発」課題番号06770361 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06770361/)を加工して作成, 金沢大学がん研究所}, title = {膵液中p53癌抑制遺伝子の検索による膵癌診断法の開発}, year = {2016} }