@techreport{oai:kanazawa-u.repo.nii.ac.jp:00060092, month = {Apr}, note = {最近IL-1,TNF刺激によりスフィンゴミエリンの分解とセラミドの生成が促進されることが報告され、また異なるグループにより中性および酸性スフィンゴミエリナーゼのIL-1/TNFシグナル伝達への関与を示唆する報告がなされている。このうちSchutzeら(CELL,71,765,1992)はTNFによるNFκBの活性化に、PC-PLCによるDAGの生成と酸性スフィンゴミエリナーゼの活性化が重要であると報告している。本研究では、酸性スフィンゴミエリナーゼの欠損による先天性代謝異常疾患として知られるニーマンピック病(NPD)タイプA患者由来の線維芽細胞を用い、IL-1,TNFによるIL-8遺伝子の活性化における酸性スフィンゴミエリナーゼの役割を検討した。 タイプA-NPD由来線維芽細胞株は、National Institute of the Geberal Medical Sciences Human Genetic Mutant Cell Repositiryより2株取りよせ、また岐阜大学小児科教室で樹立された1株を加えた。これら3つのタイプA-NPD由来線維芽細胞株についてその酸性スフィンゴミエリナーゼ活性を確認したところ、正常の線維芽細胞と比較して1%以下であった。実験としては、タイプA-NPDおよび正常線維芽細胞をIL-1またはTNFの存在下で24時間培養し、培養上清中のIL-8蛋白の濃度をELISA法を用いて測定した。またIL-1,TNF刺激後のIL-8mRNAのレベルはノーザンブロット法により調べた。その結果、上記の3つのタイプA-NPD線維芽細胞株において、IL-1およびTNF刺激により顕著なIL-8の産生が誘導されることがわかった。また、このうち2つのタイプA-NPD細胞株については、ノーザンブロットにおいて、IL-1またはTNF刺激2時間後に、顕著なIL-8 mRNAの誘導がみられることを確認した。IL-1,TNFによるIL-8遺伝子発現誘導にはNFκBの活性化が重要であることが示唆されているため、次にIL-8遺伝子上流域のNFκB結合部位をプローブに用いてゲルシフト法によりNPD線維芽細胞でのNFκBの活性化を調べた。その結果、タイプA-NPD線維芽細胞においても、正常細胞と同程度にIL-1,TNFによるNFκBの活性化が起こることがわかった。またRelファミリー分子に対する抗体を用いたスーパーシフトアッセイの結果から、p65とp50が、タイプA-NPD線維芽細胞において検出されるκB複合体の主なコンポーネントであることがわかった。 以上の様に、酸性スフィンゴミエリナーゼを欠損するタイプA-NPD線維芽細胞においては、正常細胞と同程度にIL-1,TNFによるIL-8遺伝子の活性化、NFκBの活性化が起こることがわかった。このことから、少なくとも線維芽細胞においても、酸性スフィンゴミエリナーゼ経路は、IL-1またはTNFによるNFκBの活性化を介したIL-8遺伝子の活性化に必須ではないことが示唆された。中性スフィンゴミエリナーゼについては、その特異的阻害剤が見い出されていないため、現在のところIL-8遺伝子発現誘導におけるその役割を調べることは難しい。今後、中性スフィンゴミエリナーゼ活性化経路の解析とその上流に対する特異的阻害剤を用いることにより、セラミドをセカンドメッセンジャーとする経路がどの程度IL-1,TNFによるサイトカイン遺伝子の活性化に関与するかが明らかになると思われる。, 研究課題/領域番号:06770240, 研究期間(年度):1994, 出典:研究課題「インターロイキン1受容体を介するシグナル伝達機構の解析」課題番号06770240 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06770240/)を加工して作成, 金沢大学がん研究所}, title = {インターロイキン1受容体を介するシグナル伝達機構の解析}, year = {2016} }