@techreport{oai:kanazawa-u.repo.nii.ac.jp:00060390, month = {Apr}, note = {池上(1988)は1か月児と4か月児の4種の顔刺激(正顔、目顔、乱顔、輪郭顔)に対する模倣反応と共に注視反応をも測度として、視覚-触運動感性間協応が早期は一体的な非感覚様相的知覚から、発達と共に独立した感性間の統合へと結ばれていくことを示した。同時に、1か月児を対象に、舌出しという動きを持つ顔刺激と、舌が最長の状態で止まったままの静止顔刺激に対する反応を比較した結果、動作条件においては「人の顔」に対する模倣、微笑、目と目の絆などの反応が現れやすかったが、静止条件では「明暗の複雑性」に対する視覚的探索活動がなされることが示唆された。 それでは模倣は、神経系の成熟によるのかまたは生後の経験によるのか。従来、早産児は満期産児より視覚的再認課題では、熟知化過程で注視と注視の間によく休むので、長い学習時間を要し、また新奇性を弁別しにくい。通様相転移課題では転移を示しにくく、新奇対象に対する視覚的探索と手操作の発達が遅く、探索のストラテジーが未熟である。他方山下によれば、幾何図形記憶課題で、早産児は生活令では満期産児に劣るが、修正令に換算して比較すると遂行が近似した。また高橋によれば自発的微笑は早産児では満期産児よりはるかにおおい頻度で現われるが、受胎後40週には両者とも同じ頻度になった。池上(1985)は満期産健常児と退院後の早産児を、生活週令または修正週令を同等にして模倣の生起を比較した結果、両ケースにおいて満期産児が初期から「人らしい」顔図版を選好して模倣するのに対して、早産児は「明暗の複雑性」を表す乱顔に対しても模倣を生じやすく、パターンが異なった。 今年度は未熟児センターを退院間近い早産児を対象に静止または舌出しの動きの有る4種の顔図版に対する予備調査を行なった。その結果まず、過去の研究で取り扱った満期産健常児、早産児のO.B.と比較して非常にデータが得られにくかった。被験児の状態は変わりやすく、目覚めから泣き、眠りに移行しやすかった。目覚めているときは刺激への定位が見られた。全体として模倣的な舌出しは少なく、反応パターンも異なり、舌出しは乱顔と輪郭顔に現われた(図1)。図版に対する反応は得られにくいものの、実験者自らが被験児を抱き対面して実物の顔で舌出しを行なった場合は、模倣反応の舌出しが得られた。注視行動については乱顔と目顔、正顔が同等に注目される傾向があり、特に動作条件で著しかった。動作条件の方が静止条件より注視をひきつけた。目がよく注視され、動作条件では舌が注視された(図2)。来年度さらなるデータの集積と分析が待たれる。, 研究課題/領域番号:05206203, 研究期間(年度):1993, 出典:研究課題「乳児期のコミュニケーションおよび異感性間協応の発達としての顔の動きの模倣の研究」課題番号05206203 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05206203/)を加工して作成, 金沢大学教育学部}, title = {乳児期のコミュニケーションおよび異感性間協応の発達としての顔の動きの模倣の研究}, year = {2016} }